「割れた陶器を"簡易"金継ぎで直す」
買ったばかりのマグカップを割っちまった!
"金継ぎ風"に直す。
- 広告 -
このページの参考元
このページで紹介する簡易金継ぎは、
デフラグライフさんのサイトにて食品安全性の高い現代的金継ぎの方法として紹介されているものを参考に実践したものです。
私自身で気付いた点、工夫などを加えつつ、先様のサイトと被る内容についてはさっぱりまとめました。
インデックス
1. 簡易金継ぎ と 本物の金継ぎ
2. 用意するもの
3. 簡易金継ぎによる補修
3-1. 割れを接着
3-2. 欠けを復元
3-3. 絵の具で金を再現
4. ひと工夫 & テクニック
4-1. ゴールドの色調を変える
4-2. 目立つ割れ線をごまかす
4-3. 細く立体的な線を表現する
5. 焼いて、出来上がり
1. 簡易金継ぎ と 本物の金継ぎ
金継ぎ風に直すやり方は、「簡易金継ぎ」などと言われているようです。
ここでは、
『 食品安全性の高い"ボンド"で接着補修、同じく食品安全性の高い"絵の具"で金を再現する方法 』(参考元:デフラグライフ)
にて行います。
対して、「本物の金継ぎ」は、漆で接着補修、金(または銀など)の金属の粉を振りかけて仕上げます。
金継ぎなんて言いますが継ぐのは漆です。時間、手間もかかり、コストも掛かります。 また電子レンジNGだったりと不便も。
▽簡易金継ぎのメリット
・より低コスト
・より手軽
・より高い食品安全性
・電子レンジOK
見た目の美しさは本物にはかないませんが、機能面では簡易金継ぎの方が上です。
2. 用意するもの
1. タイトボンド3 (リンク:amazon)
食品安全性の高い接着剤となるとこれしかない。
皿やマグカップの補修には十分な接着力を発揮します。硬化後はやすり掛けも可能な硬さに固まります。
2. ペベオ ポーセレン No.44 ゴールド (リンク:amazon)
安くて食品安全性のある陶器用の絵の具ってなるとこれしかない。
No.44で金を再現。 No.02のマルセイユイエローも使ってちょっと工夫します。詳しくは後述。
3. 面相筆 (リンク:amazon)
めんそうふで。これで絵の具を扱う。ダイソーで買える。
4. セラミックパウダー (リンク:amazon)
補修する陶器の欠けた部分は、これとボンドを混ぜたパテ(粘土)で埋めて復元する。
購入しても良いが、捨てるような陶器があればハンマーで砕いて用意できる。茶こしに掛け、なるべく目の細かい粉状の物を使用すると良い。
5. ダイヤモンドやすり (リンク:amazon)、 それと、紙やすりセット (リンク:amazon)
ダイヤモンドやすりでパテを削ったり、陶器を削って溝を作ったり。
紙やすりも目の粗い紙はパテ削り、目の細かい紙で滑らか仕上げ。ダイソーでも買える。
ポーセレンの絵の具は、150℃、35分の焼き付けで定着させる必要があるため、
オーブン (リンク:amazon) は必須!
▽ その他、あるとより良い
・アルコール(amazon) と 布切れ
ポーセレンの絵の具は失敗しても焼き付け前なら水、またはアルコールで拭き取れます。たぶん水よりアルコールの方が落ちやすい。消毒用アルコールでOK。
・小さめのマイナスドライバー(amazon)
硬化したボンド、絵の具を削ぎ落すのに使う。
・切削ビットとリューター
パテ復元した所などを削るのにあれば楽。
絵の具については、筆を使わず容器から描ける「ポーセレン アウトライナー」でもOK。
アウトライナーだと描く線には立体感が出るようです。線は立体感のある方がそれっぽく見えます。ただ線の強・弱を変える、面を塗るといった作業は難しいでしょう。
アウトライナーと筆、どちらか一方を選べと言われたら私はより表現に幅のあるであろう筆を選ぶ。
3. 簡易金継ぎによる補修
では簡易金継ぎを実践!
アウトライナー不使用。 筆でやります。
3-1. 割れを接着
落として欠け、ヒビの入ったマグカップを簡易金継ぎで直す。
ヒビの入ったままだと隙間にボンドを流し込んで接着するのは難しいのでタオルをあてがってハンマーでしっかり割りました。
タイトボンド3で接着。
このボンドの説明書きにはありませんが、接着しようとする両側にボンドを塗布、少し乾いてからそれらの接着面を合わせる、と言うのがボンドでの接着ではよく行われる手法です。
はみ出したボンドは硬化後、マイナスドライバーで削いで取り除きました。
3-2. 欠けを復元
タイトボンド3と粉状に砕いた陶器(セラミックパウダー)を混ぜてパテに。
写真のパウダーはジャリジャリで粗すぎ。硬いので削るのに電動工具を使いました。もっと細かいサラサラの方が良い。
パテを欠けた部分に ”盛り付けて” 修復。 形を整えるのは硬化後なので適当に盛る。
数日置いて硬化、完全に乾燥するのを待ちます。
パテを削って整える。 やすりの粗いもので大まかに削り、細かいもので表面を滑らかに仕上げること。
パテの補修部分と健全な陶器部分を完全にまっ平にしても良いし、ちょっと盛り上がったまま整えると金がより主張するような表現にもなります。
陶器の健全な部分に粗目のやすりが当たると細かな傷が付くので艶々の陶器はよく注意。
3-3. 絵の具で金を再現
筆に絵の具を少量付け、陶器に金の線を描く。
筆は小指を添えて繊細に。失敗しても焼く前ならアルコール(または水)で拭きとればきれいになるので気楽にチャレンジ。
本物っぽく仕上げるコツ:
一、 線の太さは一定ではなく、細くしたり、太くしたりするとそれっぽくなります。
一、 塗る部分が面の場合は平滑に仕上げるとそれっぽくなります。下地に凹凸があったり、塗りむらがあるとデコボコしていまいちに。
4. ひと工夫 & テクニック
4-1. ゴールドの色調を変える
ポーセレンのゴールド(No.44)が売り切れで仕方なく買ったマルセイユイエロー(No.02)。これで金の代わりになるかと思ったんだけどダメですね。
その後、No.44を入手して施行してるときに気付いた事なんですが、
マルセイユイエロー(No.02)をゴールド(No.44)の上に施行することで色調を変える事が出来ます。
No.02は透明色なので下の色を覆い隠すのではなく、黄色いフィルムを掛けたようになるわけです。
No.44単体とNo.02併用、どちらがより本物っぽいかと言うのは難しい。より派手になるのは後者です。
4-2. 目立つ割れ線をごまかす
割れた部分の溝が深すぎたりすると、" 色を乗せても溝の線が消えず " いかにも絵の具を塗ったフェイク感が丸出しに…
そんな 消し切れない割れ線は、『片側除去』。
マイナスドライバーなどで、線を境にどちらか片側一方の塗料を削ぎ落す事でより自然に。
また、へなへなした線にも締りが出ます。
4-3. 細く立体的な線を表現する
細い線を表現するときは、『溝残し』。
割れ線をダイヤモンドやすりで削って溝を作り、絵の具を大雑把に乗せ、乾いたらアルコールで拭き取る、
すると、細い線の出来上がり。このとき線に立体感が出るかどうかは溝の具合によりけり。気持ち深め、広めだろうか。
陶器を接着してから溝を作るのは大変なので、接着前に角を削って溝を作る方が簡単です。
5. 焼いて、出来上がり
5-1. オーブンで焼く
絵の具の出来に満足したら十分に乾燥させる。 しっかり乾燥しないと絵の具が膨張して失敗するらしい。(私は1週間以上、自然乾燥させました。)
オーブンで予熱なし、150℃、35分 焼きます。
急な温度変化があると割れるらしいので終わっても扉はすぐ開けずそのまま2時間はオーブン内に放置。
5-2. 簡易金継ぎ、出来上がり!
簡易金継ぎで補修したマグカップが出来上がりました!
処女作にしては良くできたんじゃないか。
ゴールド(No.44) と マルセイユイエロー(No.02) を使った金色です。
さすが日本の金継ぎ、日本茶が合う。
5-3. その他の作品
その他、いくつか器を修復しました。
和風の柄と金は合いますね。この色もゴールド(No.44) と マルセイユイエロー(No.02)です。
タイトボンドについてですが、接着力は十分! 初めのうちはびくびくしてましたが今では安心して使ってます。
△ 今回使用したもの (ページ内リンク)